屋根裏部屋
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朱雀の将軍

5 破瓜

 新羅からの遣いは多いが、今回は大物がやってきた。多数の援軍を要請している。そういう要求のときは必ず、とある高官が訪れた。辣腕の政治家は交渉ごとが巧みなことで知られていたが、もうひとつ、この人物を有名にしているのはその娘だった。妻を亡くしてからは、絶世の美女として名高い娘をどこへでも連れ歩く。あちらこちらの王族を物色しているのだと言う者もあった。
 「高句麗に服すると言いながら、いつの間にか要求は通すのだから、あの男には気をつけませんと。」
ヒョンゴがため息をついた。
 「多少の痛みは引き受けなければならないだろうな。これで関係を決定的にする。今後、新羅の軍事は高句麗が決める。」
タムドクの言葉に、ヒョンゴは少々背筋が冷たくなった。近頃の王は凄みが増している。交渉ごとで相手になる者などいないだろう。
 「あ、また例の息女が同行しています。陛下、どうかお気をつけて。」
声を潜めるヒョンゴに、タムドクはちらりと顔を上げて、なんだ、と目で聞いた。
 「嫁ぐと決まったらしいのに、相変わらず陛下に執心しているとあからさまだとか。まるで王女のようにわがまま放題の奔放な姫だといいますから、忍んで行くやもしれません。」
面白そうにタムドクが王事を見つめた。だいぶ前から来ているぞ、と言ったら卒倒するのではないか?
 「たしかに無邪気な娘だが、わがまま放題とは思わないな。」
なぜそんなことを知っているのか。ヒョンゴの表情が固まり、ますますタムドクは面白そうに笑った。
 「そうか。嫁ぐのか。なにか贈り物を考えよう。」

 

***

 

 「むかし陛下におすがりして、こっぴどくやられたことがございましたね。」
タムドクは俯いて苦笑した。
 「情けなどやらん、欲しければそこへ跪いて口で受けろとおっしゃいました。」
きわどいことを言いながら鈴のような声で笑う。わたくしは恐れを知らぬ少女で、陛下のお部屋をお訪ねしました。そこでひどく叱られたのです。こう言われて下腹に感じないような小娘は要らぬとおっしゃいました。わたくしずいぶん泣いて、ますます陛下に焦がれるようになりました。
 「悪かった。それは私なりの下品な啖呵だ。幼稚な八つ当たりともいうかな。」
その頃はひどく忙しくて気持ちが荒んでいた。父親が投げかける無理難題に苛々と対応しているというのに、夜にはその娘が居室に押し掛けた。男が自分を欲しがるのは当然だというような顔をして。つい、この珠に傷をつけてやろうと思った。しかし侮辱にめげず、高句麗を訪れるたびに娘は忍んできた。
 執心というが艶っぽい密会とはほど遠い。娘が訴える恋情をタムドクがあしらう。それはお定まりの冗談のようになり、繰り返すうちに、タムドクはそのまっすぐな幼さが気に入っていた。無邪気で危なっかしく、はらはらとつい見守ってしまう娘だった。
 娘の手が伸びてタムドクの顎を捉えた。太王を前に臆することなく振る舞う。天然自然の行いにはさらに磨きがかかっていた。
 「あの時の罪滅ぼしを頂きとうございます。それを抱いてお嫁にいきます。」
 「ご成婚のお祝いは別のものだよ。」
いつものように冗談にしようとしたら、あっという間に膝に身を投げ、首を抱いて唇が柔らかく迫った。父親同様、どうやら今回は本気のようだ。
 「けして後悔はいたしませんから。お願いです。」
 「こちらは困る。嫁ぐ人のそんな企みに乗って片棒を担ぐのはごめんだ。」
娘の目に涙が盛り上がった。たちまちしくしくと啜り上げる。
 「泣いてもだめです。」
 「存じております。でも悲しいんですもの。これで二度も陛下に拒まれました。」
いや、もっとじゃないかな。そう言いながら、膝に乗った娘をあやすように揺すった。真っ白な肌にこぼれるような瞳、唇には薄く紅をさしているが、中身は相変わらず子どもだ。
 「あなたはわたしに執着すること自体を気に入ってるんだよ。」
 「どれほどわたくしが夜毎に焦がれているか、ご存知ないくせに。」
 国に帰れば花郎の美丈夫に嫁ぐというのに、平気でそんなことを言う。なのに少しもすれたところがない。タムドクは自分を見上げる美しい瞳に目を落とした。
 「さては陛下は好いた方があるのですね?その方がわたくしとのことをお怒りになるの?」
 「だから、あなたとは何もない。」
 「わたくしをその方と思って」
 「そんな自尊心を売るようなことはやめなさい。それにあいつはあいつだ。」
言葉をかぶせてぴしゃりとはねつけた。娘はずるりと膝を滑り降りると、肩を落として突っ立った。
 「わたくし、また失敗しました。陛下にお情けを頂いて、すべてを吹っ切ってお嫁にいくはずだったのに。」
新しい涙がぽろぽろと伝う。タムドクはため息をついた。
 「やれやれ。こちらへいらっしゃい。」
大きな椅子だ。しゃくりあげる娘を脚の間に座らせると、腕を回してすっぽりと抱んだ。よくもまあ、政治の道具に使われずに今まで来たものだ。父親はこんな娘が置いておけずに連れ歩き、自国で夫を選び抜いたに違いない。
 「陛下」
娘の声が期待に上擦り、腕を伸ばして背後の首を抱いた。
 「あなたを抱くわけにはいかないよ。口づけもだめだ。」
 それは夫のものだ。
 悪戯っぽく言いながら、背から回した手が胸を這う。娘の首筋がこわばった。裾からも手を忍ばせる。すんなりとした脚を掌が辿り、小さな声が上がった。下履きの上から、太腿を探る。また声が漏れた。
 入り込んだ手が、器用に紐を解く。直に内股を探ると、そこは小さく震えた。胸と内股が同時にやわやわと揺すられる。はじめての感覚に脱力した娘は、息を乱し、すっかり身を預けた。胸帯に滑り込んだ指先が、先端を掠めるように擦る。また娘が大きく喘ぐ。
 その先に手を這わせるとしっとりと潤んでいた。中心をこねるように撫でられ、指先でなぶられると、娘の身体が震えた。摘み上げ、小刻みに揺する。
 がくがくと引きつり、小さく叫んで、娘はあっという間に果てた。
 艶のある笑みを浮かべ、荒く息をついて上下する体を支える。タムドクは娘の耳元で囁いた。
 どういう夫かは知らないが。
 「夫に抱かれればこれは忘れる。幸せになれ。」

 
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